JR東日本から、E8系の故障の原因とされる内容と、8月以降の山形新幹線の運行に関するリリースが出た。
→ 「山形新幹線 E8系車両故障の調査結果と対策及び今後の運転計画について」と言うニュースリリースです。
E8系の故障の原因は、補助電源装置の故障ということは公表されていたが、今回その故障した原因が発表された。
補助電源装置の故障の原因は、結構複雑になっていて、その説明もなかなか難しいものだった。
まず補助電源装置内には、半導体素子と保護素子が組み込まれた制御基板がある。
補助電源装置の半導体素子が、パンタグラフから取り込んだ電力を主変圧器を通して電力を受け取る。
その電力の一部を制御基板に供給し、制御基板が半導体素子に対して主変換装置を通してモーターに供給する電力を制御する。
制御された電力がモーターに供給されることで、電車が動くことになる。
そして、問題の故障した補助電源装置は、半導体素子が制御基板に供給する電力が想定より大きくなり、制御基板周辺の温度が上昇。
外気温も高い時にこの制御基板周辺の温度が更に上昇し、制御基板に組み込まれた保護素子が危険と判断し、電力を遮断。
そのため制御基板への電力は遮断されたが、主変圧器から半導体素子に流れている電力はそのまま流れており、半導体素子が損傷。
半導体素子が損傷したことにより、モーターへ供給する電力が出せなくなり、電車は走ることが出来なくなる。
ということらしい。
半導体素子というのは、制御基板への電力供給と、モーターへの電力供給を行っており、モーターへの電力供給の制御を制御基板が行っているので、制御基板が動作しなくなると、モーターへの電力供給が出来なくなる、と理解した。
公表されている説明図は簡略化されているとは思うが、とにかく何かしらの異常が発生したときに温度監視をしている保護素子が電力を遮断することで、モーターへの電力を遮断(結果的に遮断され?)し、電車を動かせないようにする、または走行中であれば電車を止める、という動きになるということなのだろう。
そういう意味では、今回故障したとはいえ、制御基板の保護が働いて電力を遮断し、半導体素子が壊れることで、モーターへの電力を遮断して電車を止めることが出来た、とも言える。
そして、この現象が発生するのは、特定の時期以降に製造された半導体素子を使用した補助電源装置、ということだ。
この特定の時期以降に製造された半導体素子を使うと、これまでよりも大きな電力が制御基板に流れてしまう。
その半導体素子を搭載した補助電源装置を使用しているのは第7編成以降ということで、第6編成以前の補助電源装置に搭載される半導体素子では発生しないらしい。
編成番号がそのまま当てはまるのであれば、G1~G6編成では発生せず、G7編成以降で発生するということだ。
故障した編成はG8~G11編成と、そのあともう1編成で故障が見つかっているので、それがG7編成なのかG12編成なのかはわからないが、G7編成以降の車両という事なのだろう。
原因として公表されているのはここまでで、なぜ半導体素子が制御基板に大きな電力を流してしまうのか、は言及されていない。
製造上の問題なのか、半導体素子自体の設計変更による問題の混入なのかは、JR東日本だけでは特定出来ず、今後は製造メーカーでの原因究明、ということになるだろう。
で、この問題の対策なのだが、これが今ひとつ理解出来ない。
対策内容は、制御基板に組み込まれている保護素子が電力を遮断する設定温度を上げる、というものだ。
え?
半導体素子から想定を超えた電力が流れて周辺温度が上昇することを許容するの?
これ、リリースにはさらっと「制御基板の制御回路が半導体素子を制御する電流の違いや回路の周囲温度の上昇に対しても誤動作しないよう、制御回路の保護素子の設定を見直します。」と書かれているが、別紙の図を見ると、保護素子が動作する許容設定温度を上げるように見える。
一般人が言うのも何だが、これ大丈夫なのか?
通常は、半導体素子から想定を超えた電力が供給されるなら、想定を超えない電力が供給されるよう何かしらの回路を挟むとか、超える電力でも対応出来るよう制御基板に対策を施すとか、とにかく温度上昇を抑える方向で保護素子の設定を超えないように対策を施すんじゃないのかな。
電力系での温度上昇による影響はいろいろと問題が出るはずで、制御基板周辺の温度上昇による、他の問題を起こさないかが心配。
なんかE6系の連結器の対策といい、付け焼き刃的な対策に見えて仕方ない。
ここからは今後のE8系の運行について。
8/1からはE8系の単独運転、つまり東京直通のE8系を運転再開するとのこと。
当初は問題の発生しないG1~G6編成とE3系を用いて、通常ダイヤのつばさを運転することになると思われる。
夏の臨時列車は一部運休があるようだが、これも7/28に改めて臨時列車のダイヤを公表する、とのことだ。
一応、お盆休み前にはつばさのダイヤを平常に戻す、ということができることになった。
当初はあまり不安無く乗れそうだが、今後G7編成以降についても、上記の対策を施して安全性(リリースでは健全性と書いているが)を確認したうえで順次投入、ということだ。
乗車する編成がG7以降だとちょっと不安だね。
本当に大丈夫なのかな・・・
問題が発生するのは、ある意味仕方ないところもある。
鉄道車両に限らず、精細化・複雑化している電子機器は、問題も発生しがちではあるが、そのために評価期間を多く設けて、問題があれば恒久対策を施して実戦投入する。
そこまでしても問題が発生することはあるわけで、その対応をいかに行うか、というところが問われるわけだ。
それが、E6系の連結器もそうだし、このE8系の対策も、一般シロート眼から見てもその対策大丈夫なのか?ということが続いている。
新幹線は安心安全というところを疑問に思われるとかなり残念なので、ちょっと本当にJR東日本には頑張ってもらいたい。